#181 麒麟の翼~劇場版・新参者~

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原作のある映画といえば

アキサン 今やってる『天空の蜂』もそうだけど、東野圭吾の作品って結構映像化されてるんですよね。
中でも色々とインパクト強かったのが『秘密』。独身の頃に観た印象と結婚して娘が生まれてから観る印象が大きく違ってましたね。娘がいる身で観ると最ッ高に気持ち悪い話ですよ、想像出来ない。平介の葛藤と逡巡は当然ですよね。「口でしてあげよっか」とか、冗談じゃない、馬鹿言うんじゃない、って。ラストの2発パンチの流れもグッときましたね。あれ原作では殴らない、殴れないんですけど、映画だとしっかり殴ってる辺りがまた微妙で。しかも二発って言っておきながら一発だし。そこまで達観できんだろうに、と思うんです。原作のように後味悪い感じで幕引いてくれたら良かったんでしょうけど、キレイに収めたい、って意図が働いたのかもしれませんね。
上木原 今回は「原作のある映画」ってことで、僕が好きな作品は日本映画に多い医療モノ、警察モノ・・・・以前にもあげた山崎豊子さんの作品しかないかな。『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』『沈まぬ太陽』と、世間が目をそむける社会の矛盾に対して綿密な取材で巨大な組織を斬る作風は圧巻の一言だよ!リアルすぎてノンフィクションじゃないの?と思うほど。まあ実際あったことがベースらしいからね。とにかく見ごたえのある作品ばかりだった。
坂元 僕は山崎豊子さんの作品、本・映画・ドラマとどれも一度も読んだことも観たこともないんだよね・・・・。
上木原 マジ?!凄い面白いから絶対観た方がいいよ。オススメは、医局制度などの医学界の行為を追及した社会派小説をベースにした『白い巨塔』。この作品は韓国でも映像化されてるからね。そして関西の財界に君臨する銀行頭取の親子を描く『華麗なる一族』、あと、ジャンボ機墜落事故の『沈まぬ太陽』。どれも壮大で見ごたえがあった。
坂元 「白い巨塔」とか、原作は随分古いんだよね。調べてみたら66年に一度映画化されていて、その後度々TVドラマ化されている。余程の名作ってことだよね。観てみたいけど全21話?長いなぁ~・・・・笑
上木原 山崎豊子さんの作品で個人的に一番好きなのが『不毛地帯』
主人公の壱岐がシベリアに11年間抑留され飢餓と過酷な強制労働が凄惨な日々からはじまり、日本帰還を果たし近畿商事に入社して才能が開花。防衛庁の次期戦闘機選定に深く関わり壮絶な黒い商戦。異例の昇進をし続ける壱岐の舞台はアメリカへ・・・・アメリカ近畿商事でも大手自動車企業のフォークと日本国内3位千代田自動車と提携交渉する。とうとう近畿商事ナンバー3の専務となった壱岐正が次に臨んだビッグビジネスは石油!そしてライバル商事との国際入札で死闘を制して見事落札。でもね、掘れど掘れど石油が出てこないのよ・・・・まぁ最後まで見ごたえのある作品だった!最後は社長を喰うからね・・・・。
何故この作品が一番好きかというと、他の作品は主人公が報われないんだけどこれはスッキリ終わるからね。あと近畿商事が伊藤忠商事だったり千代田自動車がいすゞ自動車だったりとリアルなトコもね。彼女の小説は五感を刺激する。喜び、怒り、哀しみ、裏切り、挫折、そして這い上がりながら生きていく人々のストーリーが逸品。善人と悪人がいて過酷なストーリーの中でも自分に正直に人生を生きている登場人物たちに共感して惹きつけられる作品が多い気がする。
坂元 アキサンは最近「原作もの」では何観た?
アキサン 『渇き。』とか『凶悪』とか『私の男』とかですね。
坂元 なんか偏ってんなぁ~・・・・。
アキサン 『私の男』は映画にまったく興味持ってなかったんですけど、嫁が原作小説持ってたんで配役が誰か知らずにヒマつぶし気分で読んだんです。そしたら「これを映画化したのか!?」と、違った意味で気になって。まあこれも『秘密』で平介が苦悩しながら守り抜いた境界というかそういったものを軽々と飛び越える話じゃないですか。気持ち悪いですよね。この時点で淳悟の配役イメージはトヨエツだったんです。これネットで検索するとそういうイメージ持ってる人が結構多くて。トヨエツのあふれ出るエロオーラぐらいでしか描けないんじゃないかと思ってたんですけどね。日本には浅野忠信という変態専門の役者さんがいた事を思い出させてくれました。
坂元 桜庭一樹がどうも好きになれなくて・・・・とは言っても一冊も読んだことないんだけど、食わず嫌い的になんか抵抗があるんだよね。だから原作も映像も観たことないなぁ~。『凶悪』の方は凄い気にはなっていながら未だ観てなかった。今度観てみよう。面白かった?
アキサン 原作読まずに映画観たんで純粋にストーリーを楽しめましたね。『渇き。』『凶悪』もまあ見事にクズばっかりで。『凶悪』のリリー・フランキーとピエール瀧のクズコンビには心底痺れましたね。ノリノリでしたもん。『渇き。』はまた清々しいほどのクズが大量で。良い人っぽい役が多いイメージの役所広司がクソがクソがと連呼。ダイワハウスのCM大丈夫か?と心配になります。唐突に出てくるオダジョーに戸惑っているうちに妻夫木が吹っ飛びあの人が犯人として浮上してきておやまあと思っているうちに終わっちゃったんですけど、『アウトレイジ』みたいに全員悪人ならぬ全員クズの映画ってのも中々に観応え有りますよね。
坂元 ・・・・やっぱ、偏ってんなぁ~。
アキサン ところがクズを描いてないのにクズしか出てない映画というものも時にはあって、それはクズ映画とか後味悪い映画大好きな僕でも最高に純粋にムナクソ悪くなるんです。それが秋元康原作、役所広司主演の『象の背中』!もう中年のオッサンのゲスい欲望とか腐った願望とか都合の良い妄想を見せつけられたような気分で。マスターベーションなら布団の中で済ませば良いものを、何でそれを人に見せつけるんだと。露出狂か変態の仕業ですよ。仕事はこなして家では良い父で良い夫で、それでも外には愛人がいてそつなくこなして、死にそうになって病院入って愛人と妻が仲良くなって遺骨まで分けてやって、もう最初から最後まで気持ち悪い。反吐が出る。しかもこの原作がメディアミックスしてるのがまた気持ち悪い。えげつない。同じような願望持ってる人や現在進行形で浮気してるオッサンは共感しちゃうんでしょうか。
坂元 いつにも増してボロカスだね・・・・。

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