カラー・オブ・ハート©ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

#188 カラー・オブ・ハート

発想が非常に面白くて今までにないジャンルだったんで観てよかったよ。最初は「えっモノクロ?」って思ったんだけどね。 だんだん艶やかになっていく町並みが素晴らしい! by 上木原

『カラー・オブ・ハート』
発売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
ブルーレイ ¥2,381+税/DVD ¥1,429+税

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プレザントヴィルの奇跡

坂元 今回は「ヒロイン」の出てくる映画を語ろうかと。
シホ 「ヒロイン」って言葉からレベッカの「PRIVATE HEROINE」って歌しか浮かばない私。映画の話じゃなくなるし・・・・でも高校の時よく聴いたんだよねぇ。映画の話じゃないなぁ・・・・。
上木原 あと、バックナンバーてアーティストのナンバーに「ヒロイン」ってのあったな。アレ結構好き~!カンケー無いけど。っていうか「ヒロインもの」って男の僕はあまり観ないんだよね。どうしてもヒーローは男性であって欲しいってのもあって。
思ったんだけどNHKの朝ドラって女性が主人公って多くない?ってほとんどだよね・・・・今回の「あさが来た」も「あまちゃん」「花子とアン」「梅ちゃん先生」って、メインの視聴者が主婦含め女性だから感情移入しやすいのかな?それに、朝からムッさいメンズ観たくないしね。
坂元 15年以上続いているこのコーナーだけど、多分「ヒロイン」をテーマに語ったことは無いと思うんだよね。っていうか、オレ自身が「ヒロイン映画」にあまり興味が無いってのと、そもそも「ヒロイン」って何?ってのが改めてよく分かってないような気がする。どうしても『トゥームレイダー』のアンジェリーナ・ジョリーとか『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチが真っ先に思い浮かぶんだけど、「ヒロイン」ってそういうカテゴリーじゃない・・・・っていうか、それだけじゃないよね?
上木原 確かに「ヒロイン」って解ってるようで解ってないかも・・・・。俺も「主人公の恋人」みたいなイメージしかなかったんだけど、wikiで調べてみたら「その勇気やとびぬけた業績や気高い特質で称賛されている女性。女主人公、女性の重要人物、女性の英雄」ってな感じ。けど中にはダークヒロインってのも存在するみたいで、僕も好きな『マレフィセント』とか。そしてあの『アナと雪の女王』もジャンル的には「ヒロイン映画」。姉妹の愛を描いた作品も同類映画になるのだから一言で「ヒロイン映画」って難しいよね・・・・。
坂元 なので今回は「記憶に残るくらいに魅力あふれる女性=ヒロインがいた映画」ってことで『カラー・オブ・ハート』をテーマにしようかと。観た?オレ凄い好きな映画なんだけど。リース・ウィザースプーンがすっごく魅力的だった!
シホ 私、『カラー・オブ・ハート』って映画観たことないんですよね。ごめんなさい。
上木原 俺も全く聞いたこともなくて。今回初めて観てみたんだけど、発想が非常に面白くて今までにないジャンルだったんで観てよかったよ。最初トレーラーか何かで見たときは「えっモノクロ?」って思ったんだけどね。だんだん艶やかになっていく町並みが素晴らしい!特にお気に入りのシーンは恋人池に行くシーンでモノクロからピンクに変わっていく様がステキ過ぎた!
坂元 そうそう!モノクロからカラーに変わる映像体験って意外となかなか無いんだよね。あのシーンは一生忘れられない・・・・。因みに、この映画の主題歌はフィオナ・アップルがジョン・レノンの「Across The Universe」をカバーしてるんだけど、そのMVが凄く良いよ!(欲を言えばコレも途中からカラーになれば良かったのに、って思ったけど)フィオナ・アップルが完全に曲を自分のものにしてて、ビートルズのカバー曲の中ではエイミー・マンの「Two Of Us」とか、ザ・ヴァインズの「Im Only Sleeping」と並んで1~2位を争う名曲なんじゃないかと思う。
上木原 “感情”を持つとモノクロからカラーになるってのも不思議な感覚だった。50年代のファッションもヘアスタイルもホントにキュートだったし。消防軍団がコメディ過ぎて笑えるんだけど一方の裁判のときはシリアスで考えさせられるんだよね。途中トビー・マグワイアが『ショーシャンク〜』っぽいパクリや猫で出動する消防隊に笑った!
坂元 舞台は50年代。テレビドラマの中で描かれる、何もかもが健全で完璧な町“プレザントヴィル”の(白黒)世界に入り込んでしまった双子の高校生兄妹・・・・って設定がもう斬新!(笑)しかも、兄がトビー・マグワイア、妹にリース・ウィザースプーン!リースは写真で見ても全然可愛いと思わないのに映画だと何故だか凄い魅力的なんだよね。特にこの『カラー・オブ〜』とか『クルーエル・インテンションズ』『ウォーク・ザ・ライン』とか。この人こそ本当に“キュートな人”なのだと思う。だってホント全然美人ではないでしょ?なにの何この魅力?不思議だよね。
アキサン リース・ウィザースプーンといえば真っ先に思い出すのは『キューティ・ブロンド』。とはいえ、嫁がDVDで観てたのを横から眺めた記憶がある程度だったんで今回きちんと観てみたんですけど・・・・アレですね。僕で言うところの『マッハ!』とか『少林サッカー』とか『エクスペンダブルズ』とか、頭空っぽにしてゴロ寝ビールで観る映画ですね。女性はこういう映画で頭空っぽにしてるんだね、って嫁に話したら「馬鹿にし過ぎ!」って怒られました。そんなつもり一切ないのに。終盤の法廷シーンの一番の見せ場であろうシーンの軽いこと軽いこと。「ああっ、なるほど!あれが伏線だったのか!」と唸らされるようなことは一切なく。新喜劇を見ているかのような予定調和がてんこ盛り。
坂元 『キューティ・ブロンド』観たことないなぁ~。そう聞くと面白そう!(笑)確か続編まであったよね?
アキサン で、ついでだから割かし最近の『わたしに会うまでの1600キロ』も観てみたんです。先の2本は20代の頃のウィザースプーンでしたけど、今度はグッと年を重ねてアラフォーのウィザースプーン。スプーンおばさんですね。これまた原題と邦題の差が激しいんですけど、R15なだけあっておっぱいシーンがちょこちょこカットイン。いいですねー。
坂元 それもう、結構なウィザースプーン・ファンだよね?(笑)『わたしに会うまでの1600キロ』も観たこと無いんだけど、公開当時かなり評判高かったよね。アカデミー賞にもノミネートされたり。面白かった?
アキサン ロクに山も登ったことの無い素人がいきなり1600キロにチャレンジ。冒頭から漂う無謀感。上手くいかないことばかりで疲れていく様子を見てると、ウィザースプーンが10歳近く年上の濱田マリのように見えてくる不思議。でも、疲れて薄汚れて、それでもたくましく進んでいく様子を見てると、なんだか段々魅力的に見えてくる不思議。正直、『カラー・オブ・ハート』『キューティ・ブロンド』ではそんなに可愛いとは感じなかったんですけど、この映画では凄く魅力的に感じるんですよ。終盤の少年の歌声、これにも痺れましたね。外国の少年の歌声に感動したのって、消臭力のミゲル君以来ですよ。ま、他に外国の少年の歌を聞いた事が無いだけなんでしょうけど。
坂元 あ、そういうロードムービー的な映画なんだ?なんかイメージと全然違ってた。
アキサン 劇中何度も出てくる言葉がPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)。メキシコ国境からカナダ国境までを縦走するアメリカの長距離自然歩道なのだけど、総距離では4000キロ以上になるそうですね。恐ろしい。劇中では一部区間の1600キロなんですけど、それでも相当な距離。日本で置き換えたら鹿児島から青森まで歩いて行けばそれぐらいの距離みたいです。お遍路さんの総距離が1122キロだからそれ以上。僕だったら絶対歩きたくないですね。車に乗って道中美味しいモノ食べながら行くとかなら良いですけど。
坂元 それ、ただの「うまいもんツアー」だし。
しかし今では映画プロダクション会社を持ってたり『ゴーン・ガール』のプロデュースをしたりと、なかなかの大物ぶりを発揮しているリース・ウィザースプーンだけど、この『カラー・オブ・ハート』が彼女の初主演映画なんだよね。もう18年も前だから21~22歳くらい?このキラキラ感は凄いよね~、彼女が画面に映るだけで明るくなる感じすらする。コメディ向きだよね。
上木原 一番笑ったのは妹ジェニファー(ウィザースプーン)が「私はなぜ白黒なの?」と兄デビッドに聞くところ。「人の10倍は●ックスしてるのに。ほかの子は1回でテクニカラーよ?!」そうするとデビットは「セックスの量じゃないのかも」・・・・って(笑)。ホントいい作品だったんだけどエッチな描写も多いので家族で見るにはチョット。でも「あれ、もう終わり?」って思っちゃって。ご想像にお任せします的な終わり方、個人的には好きなんだけどもうチョイ引っぱって欲しかったな。
アキサン 僕は俳優さんの名前や顔を覚えるのが比較的苦手な方で、映画観終わってからのエンドロール眺めてる時に「あ、あの人って◯◯だったんだ」とか「へー、△△が出てたんだ」みたいな感じになるので一緒に観てる人から呆れられたりすることが多々あるんです(流石にビッグネームな俳優さんは分かりますよ)。だから正直、出てる役者さんで映画をチョイスするって事が無いので、女優さんで映画を観るなんてことも無く。それに、女性が主人公の映画ってのも感情移入がしにくいんですよね。やはり性別の違いからくる感情とか思考パターンの違いから、時にはイラッとしてしまうこともあったり。
坂元 それ、なんか分かる気がする。どうしても同性の立場で見ちゃうよね。
アキサン だからやっぱりトビー・マグワイア演じるバッド目線で観ちゃうから、その妹を演じるリース・ウィザースプーンの行動パターンにはどうも納得がいかない。冒頭から乳首の浮き出たTシャツ姿で目を楽しませてくれるのは良いのですが、早々に若き日のポール・ウォーカーとチョメりだし、色々やらかしてはプレザントヴィルの街を混乱に陥れていく様子。ああ、もう・・・・って思ってたらバッドも何か調子に乗り出してプレザントヴィル崩壊が加速化。閉塞したプレザントヴィルの世界に様々な価値や概念が付加されいくなかで世界が鮮やかに彩れていく、という映画なのかもしれないんですけど、僕個人的には観てておっかなく感じましたけどね。プレザントヴィルの住人達は今までも平和で幸せ穏やかに暮らしていたのに。新しい世界知ったことで幸せは増えたのかもしれない。生き甲斐を手に入れた人もいるかもしれない。でもきっと被害者はいるんじゃないのかな、と。裁判官の人なんかもうどうなっちゃうんでしょう。大勢の前で赤っ恥かいて、環境の変化を受け入れられるんでしょうか。
坂元 まぁ、そんな難しく考えず楽しもうよ。所詮映画の世界の話なんだから。
アキサン それを言うなら「そもそもテレビドラマの中の世界じゃないか」と。いいじゃない、古き良きノンビリした世界で。何でぶち壊したんだろう。漫画の「幽遊白書」に出てくる樹ってキャラクターのセリフにこういうのがあるんです。「『キャベツ畑』や『コウノトリ』を信じている可愛い女の子に無修正のポルノをつきつける時を想像するような下卑た快感さ」思わずこの言葉を思い出しちゃいました。
てか、デイビッドはドラマ「プレザントヴィル」が大好きだったんじゃないのか?大好きなその世界を何故ぶち壊してしまうんだ?僕で言えば「ウォーキングデッド」の世界に行ってハーシェルやベスを助けに行くようなもんでしょ?
坂元 いや、それはまた違うような気がするけど・・・・。
アキサン あと、妹ジェニファーの最後の選択も納得がいかない。あの世界で色が付くってことは自我の目覚めを隠喩してると思うんですけど、なら何故そのプレザントヴィルにメアリーとして残ることを選んだのか。何故帰らない、何故現実でジェニファーとして生きようとしないのか。てか、そもそもそのドラマの世界には元々のバッドとメアリーがいたんじゃないのか。二人はどこへ行ったのか。デイビッドが現実に帰ったら元からいたバッドは復活しないのか。てか何だよあの電器屋。そしてリモコンのデザインセンス。コント番組か。もうモヤモヤしっぱなしです。
坂元 いやぁ~、このスカッとした映画にそんだけ文句言えるのはきっとアキサンくらいだと思うよ(笑)。
アキサン いやまぁ、深く考えなければ面白いのは面白いんですよね。白黒世界に色がついて行く過程は観てて楽しめました。色が付いた(というかまさしく色気づいた)母親にモノクロ化粧を施していくシーンとかも発想が面白いですよね。ドキッとしたのは「有色人種お断り」の貼紙。そこで気付いたんですけど、この映画って黒人さんが出てこないんですよね。裁判シーンでも色付の人は二階席にしかいないとか、何かしらの暗喩なんでしょうかね。
坂元 間違いなくそうでしょう。この映画、深読みすれば幾らでも裏があるよね。

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