その男、凶暴につき(c)1989 松竹富士

#189 その男、凶暴につき

ヤクザ映画って、一種のファンタジー映画だとも思うんですよ(笑)。日常生活の中ではあり得ない(あってほしくない)世界に巻き込まれる物語を体感出来るっていう。 by N氏

『その男、凶暴につき』
その男、凶暴につき
DVDレンタル中
販売元:バンダイビジュアル

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ヤクザ映画について語ってみよう

坂元 今回は「ヤクザ映画」ね。
上木原 とうとう来ちゃいましたかこのジャンルに・・・・下手なこと書いて伊丹監督みたいにならないよね?嫌いなジャンルじゃないけど、コレ系ってあんまりツッコミたくないんだよね。
坂元 確かに(笑)。で、テーマ映画は北野武の『その男、凶暴につき』。観た?
上木原 っていうか、ヤクザモノといえばやっぱ『仁義なき戦い』でしょ?
N氏 僕も同感です。菅原文太に松方弘樹、梅宮辰夫、田中邦衛、川谷拓三、金子信雄・・・・といった錚々たる出演陣!ヤクザ映画の金字塔といえば『仁義なき戦い』だよね。
アキサン しかも、北野映画って、#158『キッズ・リターン』でもやったから、アレでほとんどネタ出し尽くしちゃってるんですよね(笑)。
坂元 オレもそう思ったんだけど、テーマが『仁義なき〜』じゃ、なかなか広げられないかなぁ~と。なので逃げ道として「北野映画」の方向性も残してみました(笑)。
実際『その男、凶暴につき』って凄い名作だと思わない?後の『アウトレイジ』もやっぱりこの映画が原点だと思うし。個人的には大好きな作品なんだけど。
上木原 確かに俺『仁義なき戦い』は観た事ないんだよね。観たら面白いんだろうけど社会派的なモノが絡んでる方が好きなんで。そもそもヤクザ映画ってのを観ないんだよなぁ。でもチョウ・ユンファ好きだから『男たちの挽歌』、そしてマイケル・ダグラス好きだから『ブラック・レイン』のDVDは持ってる。あと韓流の『インファナル・アフェア』『新しき世界』とか。ヤクザ、任侠、極道、暴力団にマフィア・・・・最近だと半グレってジャンルまであるし。その違いは微妙なようで結構違うと思う。ま、暴力で解決する姿はどれも似てるかもしれないけど。
N氏 「ヤクザ映画」って言われると『仁義なき戦い』を筆頭に今回のテーマである『その男、凶暴につき』『ソナチネ』『アウトレイジ』などの北野映画に限られてくるよね。っていうか、僕が知らないだけかもしれないけど他は全然思いつかない。
だけどそこに「マフィア映画もあり」だとすれば『ゴッドファーザー』とか『グッドフェローズ』『アンタッチャブル』『ディパーテッド』などなど・・・・途端に限りなく広がってくるんだよなぁ~、そこら辺の括りはどうなの?ま、でも『ゴッドファーザー』はやっぱり「ヤクザ映画」ではないよね(笑)。
坂元 解釈的に、日本で言う「ヤクザ」は海外に行けば「マフィア」みたいなもんじゃないの?同じじゃないのかな?・・・・とにかく今回その辺はどうでもヨシとしましょう(笑)。とにかく“この手の映画”ってことで(笑)。
上木原 昔と違って今はシノギって言うんだっけ?ずいぶん変わったらしいね。昔は覚せい剤密売やミカジメ料とかあったんだけど、今はIT化してネット詐欺や生活保護費詐欺とか聞くし。「ミナミの帝王」で色々知ってるんだ(笑)。
っていうか、こないだ『その男、凶暴につき』を借りに行ったんだけど、レンタルコーナーには「ヤクザ映画」って結構あったよ。こんなに沢山あるもんなんだなぁ~ってビックリした。で、久しぶりに『その男〜』観た。そして「我妻のテーマ」久しぶりに聴いた。観た感想は・・・・キチガイばっかだったね(笑)。そしてみんな若いね・・・・みんな歳くったな。
N氏 『その男〜』はもう随分前に観て衝撃を受けたのは記憶にあるんだけど、詳細なんかは全然覚えてなかったんでこの機会に改めて観てみたんだけど・・・・そうか、北野武扮する我妻は刑事なんだよね。ず~っと主人公はヤクザだったと思い込んでた(笑)。で、ラストの妹との再会シーン・・・・あれは結構ツライよね。
上木原 北野監督作品のあの“間”はなんともいえない。結構意味のないシーンが多い気がするのは僕だけかな?逆に岩城が密売に関与したのは何故かとかそんなトコはスルーで。自分的にはこのシーンなくてもいい、コレはあったほうがいいんじゃないの?と思いながらもストーリーは続く・・・・ただただ、淡々と進んでいく。この感じが北野映画なんだよね。
アキサン ストーリーらしいストーリーもなく、たけしがホテホテ歩いて行く先々で暴力。最近流行の散歩系番組の暴力版とでもいいましょうか。
坂元 それは違うと思う。
アキサン この映画って、とにかく“たけし”が歩いてるイメージですよね。たけしの歩数を計測したサイトがあるんですけど、それによれば1660歩。一歩62センチ計算で劇中で1029m歩いてるそうです。何だかよくわかりませんが凄いですね。
上木原 人が喋ってる最中に銃でバン、通行人に流れ弾バン、ビンタをバンバン・・・・何回やったんだアレ。
アキサン ビンタは23発だそうです。
坂元 そこ正確に拾う?
上木原 ハリウッドのアクション映画見慣れてるから武器を出すタイミングとか銃を撃つタイミングってのがなんとなくあるのに、この作品は全くシカト状態。アレが彼の独特の間とズレたタイミングの手法なんだろうね。上司からの警告も全くシカトする主人公“我妻”が終始不気味な存在だった。一番気になったのは我妻と岩城が喫茶店で喋ってるシーン。アレ何喋ってたのかメッチャ気になる!後にもそのことには触れず無音のワンカットで終わってるし、終いには橋げたで死体で発見されるという・・・・。
アキサン で、最後、ヤクザまがいの暴力刑事がアッサリ死ぬんですよね。格好良く死ぬわけでも無く、引いたカメラでパンッ!バタッ。映画というか目撃者気分なんですよ。ドキュメンタリー的な。北野映画の特徴として、人の死がアッサリ描かれるというか、ドラマチックに死なないというか、カメラ動かさずに淡々と撮ってる感じが。無情というか何というか。冷たい怖さです。
上木原 しかし岸辺(一徳)さんってなんであんなに毎回ラスボス的で怖いの?いつも思うんだけど、目が死んでるって言うかセリフ棒読みってか、他の役者にない独特の雰囲気だよね。ドラマでも裏ボスやらせたら彼の右に出る人いないんじゃないかと思う。

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