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#198 ミスト

確かに後味が悪い映画ではあるけれど、僕は決してバッドエンドでは無い、と思うんです。限りなくバッドエンドに近いですけどね。でも違う。 by アキサン

『ミスト』
発売元:ブロードメディア・スタジオ
販売元:ポニーキャニオン
価格:DVD¥1,800(本体)+税、Blu-ray¥2,500(本体)+税

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結局『ミスト』は傑作なのか?駄作なのか?

坂元 今回はアキサンがホスト役でテーマ映画は『ミスト』ね。で、「後味の悪い映画」ってのを語ろうかと。
上木原 今回のテーマは僕の一番嫌いな“胸糞映画”っすか・・・・ある特定のバッドエンドの映画って「ハートが腐ってて優しい感情を持たずヒトの不幸をせせら笑う人間が観る映画」だと僕は思ってる。この“特定の”ってのがキーワードで、全部じゃないんだけどね。ま、それはまた後で話すとして。
アキサン 確かに、「後味の悪い映画が好き」なんて公言すると眉をひそめられたりすることも多いんだけど、これには確実にきっかけがあるんです。それは子供の頃に読んだアンデルセン童話の「ある母親の物語」。死神に連れ去られた愛する我が子を助けるために死神を追う母親の話なんですけど、これがまた非常に後味が悪い。その道中に目や声を奪われ、黒い髪も白髪にされ、イバラを抱かされて血まみれになったりと散々な目に遭いながらも我が子の魂の花を見つけ出すんです。でもその花を抜こうとする死神。待って!と必死で止める母親。どうなるんだとハラハラしながらページをめくると「死神は花を抜いたのでしょうか?お母さんの頼みを聞いたのでしょうか?それは神様だけが知っています」的なまさかの終わり方。衝撃でしたね、もう。そのラストに空恐ろしい何かを感じてすぐさま本を閉じたんですけど、しばらくするとまた読みたくなる。死神は花を抜いたんだろうか。子供死んじゃったんだろうか。おかあさんはどうなっちゃうんだろう。頭の中グルングルンですよ。
坂元 それは確かに後味悪いな。っていうか、子供向けの話の割には酷すぎない?しかもラストを読者に委ねすぎ!(笑)
アキサン ま、その絵本は少しフワフワした幕引きにしてるんだけど、本当の話は、死神が我が子の花を抜こうとするならこの周りにある他の花を抜きますよ!と脅す母親に対して「お前は別の母親を同じ目に遭わせるのか?」と諭す死神。そして最終的に花を引っこ抜いてオシマイ、なんです。これもエグい。救いが無い。アンデルセンって「マッチ売りの少女」とか「人魚姫」なんかもそうですけど、悲しい結末になる話が多いんですよね。長くなりましたけど、僕が後味悪い話好きなのは幼少期の読書経験から産み出された原風景のせいなのかもしれません。
坂元 それこそ、前にアキサンから教えてもらった「地獄」って絵本をたまに子供に読んでやるんだけど、コレが意外にもなかなか子供ウケがよくて、今では「のっぺらぼう」とか「うみぼうず」とか「かっぱ」とか結構シリーズが揃ってるんだよ・・・・あんまり教育上的にはよくないのか?(笑)
上木原 例えばマンガなんかでさバッドエンディングって結構あるんだよ。有名ドコだと「セーラームーン」や「デビルマン」とかだけど、そんな作品って愛読者から編集部に批判が殺到するって言うからね。あと、実は夢でした的な“夢オチ”エンディングで有名なのが「東京大学物語」とか「ハイスクール奇面組」とか。あ、あと平松先生の「ドーベルマン刑事」なんかガキの頃ショックだったな・・・・。それと松田ね、「ブラック・エンジェルズ」の。アレはショックだった・・・・そのあと無理に生き返ってたけど(笑)
アキサン 「東京大学物語」は最初の頃は面白かったんですけどね。途中~最後がハチャメチャ過ぎて。作者の江川達也は「仮面ライダーTHE FIRST」のコミカライズで凄い手抜の原稿を雑誌に載せて、同業者から「描きたくないなら描くな!」と批判されてるんですよね。最近までwebでやってた人生最後の漫画と銘打った漫画も敢え無く打ち切り。漫画以外で仕事しすぎてるような気がします。そういや「東京大学物語」って映画化もされてましたけど、どうだったんですかね。興味は無いんですけど(笑)
坂元 漫画(のラスト)で言えば古谷実の「シガテラ」が何故か強烈に残っているなぁ~。あの最終話もある意味それまでの話を全部“夢”みたいに描いているんだよね。しかも凄い現実的で。
テルオ で、今回のテーマ映画『ミスト』、観たこと無くてしかもキャストを誰一人知らない(笑)。でも『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』の監督っていうだけで観たくなりますね。脈略もないけれど、好きな映画『8mm』を少し連想しました。というよりトム・クルーズと『アイ・アム・サム』の可愛い女の子が主役のあれ(名前忘れました 笑)に近いかな。。
坂元 『宇宙戦争』?でも、フランク・ダラボン監督作だという期待を持って観るとひどい目にあうよ(笑)
アキサン そうそう、『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』と2本続けてキング原作の感動系ドラマを作っておいて、この『ミスト』を作り、あの結末を観客に叩きつける。痛快にすら感じます(笑)
魅楽流 うわぁぁぁ・・・・なにこれ、マジで後味悪りぃっすねぇ。。このコーナーに参加させていただく度に言ってますが、僕は基本的に自分が観たいと思った映画で、それもスカッとド派手に楽しそうな映画ばかりを観てるので・・・・いやぁ・・・・これはダメだぁ。。
テルオ ま、でも主役の俳優が格好いいですよね(笑)。ラスト部分、『セブン』を思い出させるものでした。『セブン』は刑事という職務の一線を越えているのに対して『ミスト』は偶々集団の中心人物になった画家である一般人のデヴィッドの一存だったのが違いだと思った。良い悪いではなく只々哀しかったです。
魅楽流 「後味悪い」っていう作品、どんなもんなのかあんまり想像もできてなくて普段にまぁ観ることもないだろうからということである意味では興味津々で、しかもそこそこに引き込まれながら”どうなるんだろう!?”と思って楽しんで観てたら、まさかのガビーン(死語)なエンディングとは。”鼻から牛乳~♪”をレベル3とすれば、この『ミスト』のエンディングは戦闘力53万のフリーザ様レベルですよね。何度思い出しても最悪だ(笑)。
上木原 『ミスト』は観終わった後、何が正解で何が間違いなのか?そんな明確な答えをを提示していないトコは凄いよね。あともうチョイ待ってりゃ助かったのに・・・・って思うでしょ。そんなモヤモヤイライラを観客に感じさせる、それはそれで監督の意図でいやらしいと思うけどさ。銃殺以外の方法なかったんかい。原作小説はこんなんじゃなく、主人公達はスタンドで燃料と食料を補給した後、車に乗って再び走り去るって描写なんでしょ?我が子殺しといて観客裏切らせて「してやったり」ってのは好きじゃない。「驚愕のラスト15分」何それ?絶望ってより父親の行動に失望しかない作品だぜコレ。だから以前から言ってるように『ミスト』はもう観ないってか観たくない映画なんだよね。
アキサン スティーブン・キングの原作と映画版のラストは大きく性質が異なってて、上木原さんの言うとおり、キングの原作はフワフワしたまま終わるんですよね。霧から抜け出すことなく、少しばかり光明を見せつつ終わる。それが映画版ではあの幕引き。キングもフランク・ダラボンの考えたこの新たな結末を賞賛したって話です。原作のままの結末だと、多分に凡作に終わってるんじゃないかと。
坂元 確かに『ミスト』はあのラストの衝撃さがウリだもんね。個人的には途中の流れもスリリングで大好きだけど、それが原作通りの終わり方だと途端に不満が残るような気がする。
テルオ 『ミスト』を観終わって『ライフ・イズ・ビューティフル』も連想しました。『ライフ・イズ〜』は父が息子の為に命を落とし、最後息子は同じような軍の隊列に救われて助かるという救いがあったけど、『ミスト』は息子にも銃口を向けた訳で親子としては厳しい選択で哀しかったですね。4発射つのに間がなく覚悟が垣間見えて。あの黒人の弁護士とMPを間違えます。ただ霧の中に消えただけなのが残念。上半身がなくなる役は彼であって欲しかったな(苦笑)あと、ミセス・カーモディ役の女性が『ジョー・ブラックをよろしく』に出ているとのことで映画館以来で観直してみたんだけど、アンソニー・ホプキンスの娘、ヒロインの姉役でとってもチャーミングでした。
上木原 『ミスト』『火垂るの墓』『ファニーゲーム』『告白』『子宮に沈める』『誰も知らない』・・・・このキーワードって解る?ガキ・・・・いわゆる子供が犠牲にあう映画なんだよ。みんなガキいるでしょ。可愛いでしょ。毎年子供が犠牲にあうニュースが多すぎる。理不尽な理由で。聞く度イライラしてしょうがない。だから子供が犠牲にあう作品は観たくないんだよ。『ミスト』観たとき俺なら最後まで絶対あんな決断はしないって思ったもん。やっぱ映画は起承転結キレーにおさまってる方が勿論気持ちいい。最初はさんざんな目にあう、そしてオトシマエをつける。最後はハートに余裕というか余韻が・・・・矢沢永吉の言葉なんだけど、そんな作品ね。悪いヤツは処罰される。家族は最後結ばれる。主人公は死んでもヒロインは決して死なない。あと一番大事な子供や動物は決して死に触れさせちゃならない。
アキサン 僕も人の親になってからは特に子供の死を描いた映画を観るとナーバスになっちゃいますよ。そして我が身に起こる事を想像して総毛立ったりします。その想像をすることが既に不吉な気配を孕んでてイヤですね。
上木原 だいたいバッドエンドな作品って基本、上記の内容絶対守ってないの多いよね。最初言った特定のバットエンド映画ってこのコト。だから子供が犠牲にあう定義を守れない胸糞映画には全く興味が無い。だけど知らなかったり、すすめられたりして観てしまうとホント不快で時間を返してほしいと思う。そんな無駄な時間するんだったら2時間筋トレしていたほうがましだ。
アキサン 『ミスト』に関して言えば、確かに後味が悪い映画ではあるけれど、僕は決してバッドエンドでは無い、と思うんです。限りなくバッドエンドに近いですけどね。でも違う。何故なら主人公のデヴィットは生き残ったから。霧は晴れ、化け物どもは駆逐されていく。その未来はきっと明るく、傷ついた街も人も時間が癒してくれるんだろう、ということは想像できますね。ただ、デヴィットだけはちょっとこの後シンドイ。デヴィット目線だと最悪の結末ですけど、視点を変えればなんとか乗り切れる。だからまた観たくなるんです、僕は。この、最悪な状況下で良かった部分を探し出すことで安堵したり満足したりする一種の現実逃避をポリアンナ症候群と呼ぶそうですが、僕は多分にソレにかかっているんでしょう。でないと好き好んで観ないですよね(笑)
魅楽流 他にもあるんですかこんなタイプの映画が!?う~ん、観たくねぇなぁ(笑)そうそう、今回この『ミスト』もHULUとかで探せなくてレンタル屋さん行ったんですけども”マ行”で探してたら『ムカデ人間』ってのが置いてあって、閲覧注意とかなってたし、俺はビビリなんで借りれなかったんですけど「これも絶対あと味悪い系なんだろうな」と直感したのですが、それ是非を今度アキサンに聞いてみようと思っています(笑)
坂元 『ムカデ人間』、オレも観たことは無い・・・・っていうか、絶対観る気にもなれないんだけどアレも酷いよね(笑)悪趣味過ぎ!
魅楽流 あと、『ミスト』ってものすごく『ウォーキング・デッド』ぽくないですか!?最近「ウォーキング~」にドハマリしてしまったのでそう思うだけなのかとも思ったけども『ミスト』のなかに「ウォーキング~」のキャロル夫妻とアンドレアがいたんですよ!!更に、そういうキャラの個性とか”何々をするためには〇〇が必要だから何処何処へ行かなきゃならない”とかって展開も『ウォーキング〜』ぽいなぁと感じた次第っす。『ウォーキング・デッド』、シーズン7の続き始まりますね~!!楽しみだぁ~♪早くウォーカーに会いたいわぁ♡・・・・さて、もはや俺から話すことは何もありませんのでこの辺でドロンしますね。恐れ入りますが今後は俺に”後味の悪い映画”は紹介しないようお願い致しますm(__)mいやぁ、映画って本当に良いものですね、さいなら。さいなら。さいなら。
坂元 もう居なくなるの?まだ前半なんだけど・・・・。

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