桐島、部活やめるってよ(c)2012「桐島」映画部 (c)朝井リョウ/集英社

#199 桐島、部活やめるってよ

初めて観た時、劇場でエンドロールが流れて、ひさしぶりに心が「うわ~!」ってなったんですよ。今まで心に引っ掛かる作品はあっても、刺さるというか抉るというか。「とにかく今すぐ何かしなきゃ!」って焦りすら覚えましたね。 by ホリケン

『桐島、部活やめるってよ』
発売元:バップ

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こいつ等全員食い殺せ!

坂元 今回のホストはホリケンさんで、「青春時代を思い出させる映画」をテーマに『桐島、部活やめるってよ』を語ろうかと思います。いいテーマだよね、コレ。
ホリケン とは言っても僕自身そんなに青春映画を数多く観ている訳では無いのですが(笑)ここ数年で一番スゴイ!と思ったのがこの作品『桐島、部活やめるってよ』だったんですよね。んで皆さんにも観てほしいと思い挙げさせて頂きました。
上木原 この作品ある意味かなり哲学的だよね。「自分の価値」「生きてる意味」・・・・「こいつ等全員食い殺せ!」からの「生徒会・オブ・ザ・デッド」笑った!正に“揺れるアイデンティティ”な作品だったな。てか主人公はマエダより自分を探してる東出のような気がする。しかし主要キャストもだけど学校の生徒みんな上手いね、演技が。自然すぎる。この作品はガキが観るより社会人が観た方がウケるんだろうな。
ホリケン 初めて観た時、劇場でエンドロールが流れて、ひさしぶりに心が「うわ~!」ってなったんですよ。今まで心に引っ掛かる作品はあっても、刺さるというか抉るというか。「とにかく今すぐ何かしなきゃ!」って焦りすら覚えましたね。それ以来、吉田大八監督の映画は欠かさず観ています。
アキサン 吉田大八監督は鹿児島出身の監督さんなんですよね。それこそJCで映画を作ろうと活動していた時、それまでやりとりしてた映画関係者の方が突然逃げ・・・もとい、退職されて全部白紙に戻った頃に『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』をDVDで観たんです。JCの先輩がその吉田監督の弟さんだったんで、何とかコネで映画撮って貰えないかな、なんて考えたこともありました(笑)あと最近では『紙の月』が印象深いですよね。
坂元 『紙の月』と同じ監督?あの映画面白かったなぁ~。
アキサン 吉田監督作品観てて思うのは説明臭くないんですよね。多くは語らないけど、その画とかセリフで理解させてくれる。ああ、きっとそうなんだな、って思いながら観られる。そしてそれが後のシーンで語られたり描かれたりするので想像の範疇で終わらない。元はCMディレクターとして多くのCMを手掛けてきた経歴があるからですかね、切れ味がスパっとしてて気持ちいいんですよ。さかのぼって調べたらネットドラマの「ミツワ」もやってたんですね。当時付き合ってた子が中村獅童のファンだったから勧められて観た記憶があります。
ホリケン 『桐島、部活やめるってよ』最高でした!僕はどのジャンルも好き嫌いなく観る方なのですが、こんなにも共感できる映画は初めてでして・・・。特に映画部の前田(神木隆之介)とその相方の武文(前野朋哉)のコンビ!彼ら最高です!僕も大体いつの時代にも相方がいた方なのですが、あのオタクコンビネーションは素晴らしかったです。
上木原 学生時代から20年以上経った今、実はこの作品を観るのが辛かった。僕にとって高校時代はもうどうでもいい時代、大人になって全く意味の無い時代で。もっとあぁすりゃ良かった、もっとこうしときゃよかった・・・ドラえもんの「人生やりなおし機」あったら戻ってみたいなんて、例え思ってても人に言えないし、思いたくない。それよりこれから50年どう生きるかって考えたいんだよ。だから最初はどうでもいい作品に思えたんだ。
坂元 確かにオレも学園モノの恋愛ドラマなんかは全く興味無いけど(特に最近そんなんばっかりだし)、でもこの映画は又ちょっと違うよね。
上木原 そうなんだけど、前回の『スモーク』と一緒で何度も寝てしまう・・・劇中「セ○クス」とか「ボ○キ」とかワードが出るたび嫌になる・・・やっぱ、ガキはガキ・・・俺にはもう関係ない世界。懐かしくリアルだけど20年以上前の話だし。同窓会とかやって「あの時オマエは誰が好きだった」「こんなことで先生に怒られた」、そんなのマジでどうでもいい。別に嫌な思い出は無かったんだけど、とにかくもうどうでもいいんだ。でも、2回目は頑張って寝ずに観てみた(笑)そしたらさ、80分経過した辺りからジワジワハマってきて・・・・バレー部キャプテンの桐島は成績優秀スポーツ万能で彼女も可愛い。完璧なまでの学園生活。今じゃリア充って言うんだっけ?けどある日突然桐島はバレー部をやめた。で、学校中が大騒ぎ!メッチャ気になる・・・桐島ってどんなヤツなんだよ(笑)中心人物が全く登場しないで周りの話が進む作品はある意味、斬新で新鮮すぎた。予想と違って考えさせられるいい作品だったな。
テルオ 桐島は写真一枚とかでも登場しないんだなと驚きました。映画を観る前は、桐島=東出昌大かと勝手に思ってたんですが・・・
上木原 学校の象徴みたいなキャラ設定の桐島。観終わった後ググってみたよ「桐島 顔」って。そしたら「過激派指名手配 桐島聡」てのがトップに出てきて吹いたわ(笑)そのくらい気になる存在だよね、全員のカリスマ的存在「桐島」。その本人がいなくなることで学校がグラつきはじめる。同じ金曜日が違う角度から4回も描かれるコトでどれだけの中心人物だったのかが窺い知れるっていう。
テルオ DVDで3回くらい観たら其々の登場人物の視線とかセリフ、ストーリー、キャラクターが繋がってるのが分かって更に楽しめました。元も子もないけど「結局は人間性で、できる奴は何でもできるし、できない奴は何もできない」ってのが感慨深かったです。
上木原 その中で全くブレ無い三人、マエダと吹奏楽部の女子と野球部のキャプテンの存在もいい。その三人はやりたいこと、やるべきことが明確なんだよね。そしてその中のマエダと女子が失恋。二人は好きなコトを最後までやりぬくんだ。「こいつ等全員食い殺せ!」「ロメオだよ!そんくらい観とけ!」って吼えるくだりいいよね。そしてカスミちゃんを首からガブっと食い殺す(笑)映画監督になれなくても好きな映画を撮り続けるマエダ。特に最後のキャプテン最高にいいんだけど(笑)「ドラフト終わるまでは」と東出のマジ顔が印象的。「結局できるやつは何でもできるし、できないやつは何もできないっていうだけの話」って自分で言ってたのをひっくり返された感じに思えた。
えりか しかし結局、桐島はどうなった?ヒロキは野球に行ったの?(エンドロールで所属部のカッコ書きが空白になっていて更に気になりました)映画部の映画は?・・・・と、落としどころを求めてしまうのは映画初心者だからなのかもしれませんが(苦笑)、教室、渡り廊下、放課後の吹奏楽部の練習の音が遠くから聞こえてくるところなど、ふと学生時代を思い出すシーンが散りばめられていてストーリーとは関係ないところでキューンとしたりしてしまいました。

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