「自然・文化・歴史。桜島には秘めた魅力がたくさんある。もっと魅力的な体験プログラムを作っていきたい」第1回 NPO法人桜島ミュージアム 中道 彩さん

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体験観光の基盤をつくるため
桜島を舞台に奔走する日々

 午前9時半。桜島がもくもくと噴煙をあげている。その様子を眺めながら、中道さんは外出の準備を整える。行き先は、桜島南部に位置する古里地区。9月下旬から約6カ月間に渡って行われる、体験プログラムの現地調査が目的だ。 彼女が所属するのは〈NPO法人桜島ミュージアム〉。桜島に関する情報収集、火山や自然に関する教育活動、エコツアーの企画・運営…と、様々な活動に取り組んでいる。「活動を通して地域活性化を図るのが目的のひとつ。私は体験プログラムを担当しています。今日のように火山灰は降りますが(笑)、それも含めて桜島には秘めた魅力がたくさんあると思うんです」。シーカヤック、足湯掘り、小みかん狩り…。これまでに企画したプログラムは、どれも子どもから大人まで好評。活動に協力的な地元住民も少しずつ増えてきた。「自分が楽しそうって思えること。それを企画して、宣伝して、実際にガイドする。もちろん、楽しいことばかりではないですが、今、この仕事に一番のやりがいを感じています」。グリーンツーリズムや体験観光。最近は頻繁に耳にする言葉だが、桜島は開発途上の地。地元住民との協力体制、関係各所との連携、広報活動の流れ…。しっかりとした基盤を作るため、彼女は奔走する毎日を送る。その活躍には目覚ましいものがあるが、実は彼女、この仕事を始めてまだ2年のルーキーである。

自然環境と関わる仕事を求め
建設コンサルトから環境教育の現場へ

 福岡県出身の中道さん。初めて桜島を訪れたのは大学時代のこと。当時は鹿児島大学で土石流や防砂ダムの研究室に所属していた。そのため、桜島は研究材料のひとつ。しかし、環境には興味があったものの、今のような仕事をするとは思ってもいなかった。卒業後は熊本で建設コンサルタントの仕事を始める。「当時の仕事は建設に伴う環境調査。環境に関わる仕事がしたかったので充実していたのですが、結局は建設ありきの仕事。こういう関わり方はどうなんだろうって疑問を持ち始めたんです」。その疑問が転機となった。景気は本格的な低迷期に突入し、勤めていた会社は早期退職者の募集を開始。自然や環境に関わる仕事をインターネットで探すと、日本環境教育フォーラムの自然学校指導者養成講座が目に飛び込んだ。「これだ!って。受講料はかかるけど、早期退職なら退職金が満額支給される。これもいい機会だと思ったんです(笑)。すぐに養成講座の試験を受けて、9カ月間のカリキュラムを受講しました」。これまでとは違う環境との関わり方。その舞台を見つけ、桜島を訪れた中道さん。いきいきとした表情で「目標はまだまだたくさんありますよ」と話してくれた。

桜島を知り、環境を活かす
すべてのキーワードは“人”

 「自然の力はすごい。溶岩の上にこんなに大きな木が育つんですから」。午前10時。古里地区に到着すると、体験プログラムで参加者と歩くコースの下見が始まった。ゆっくりと歩き、気になる植物や風景を見つけると、その度にメモをとる。時にはデジカメで撮影し、満足そうにうなずく。「この実は食べても大丈夫。ちょっと苦いですけどね(笑)」。およそ1時間の下見を終える頃、白紙だった用紙はメモで一杯になった。「これはフィールドと言って、所要時間や危険箇所を調べる作業。コース内で参加者に話せるネタも探すんです。今日はあともう1カ所。この風向きなら、次に行くところは灰も降っていないはずです」。桜島の生活にもずいぶんと慣れた。体験プログラムの企画は、桜島を知ってこそできること。地元住民との交流を深めながら、企画の幅は徐々に広がりをみせている。「体験観光の先進地はたくさんありますが、桜島には桜島の魅力がある。この土地ならではの企画を探ると、必然的に人というキーワードに辿り着くんです。何をするにも人ありき。活動に賛同してくださる方を増やしながら、コツコツとやっていきたいですね」。次の目的地に到着すると、またゆっくりと歩き出す中道さん。彼女の予想通り、灰は降っていない。周りを見渡しながら歩く、ワクワクとした表情が印象的だった。

(2009.8.22)

プロフィール

NPO法人 桜島ミュージアム 中道 彩さん

NPO法人 桜島ミュージアム 中道 彩さん

福岡県出身。NPO法人 桜島ミュージアムに所属し、体験プログラムの企画から実施までを担当している。現在は9月下旬から行われる「桜島まるごと体験村プロジェクト」に向けた準備の真っ最中。

インフォメーション

桜島まるごと体験村プロジェクト・参加者募集中

一泊二日の農的体験を月1回、合計6回行うプロジェクト。毎回、畑づくりや季節にあわせた体験プログラムを行う予定。参加者は舞台となる、古里・有村地区の空き家に宿泊するが、それも寝袋を使用するというからユニーク。月1回とは言え、よりリアルな農・田舎暮らしが体験できそうだ。募集は定員の15名に達し次第終了。

  • 日程/9月26日(土)~27日(日)、10月31日(土)~11月1日(日)、11月28日(土)~29日(日)、12月26日(土)~27日(日)、1月16日(土)~17日(日)、2月20日(土)~21日(日)
  • 定員/15名(会員制)
  • 参加費/¥30,000
  • 対象/18歳以上。農や田舎暮らしに興味のある方。※希望者は日帰りも可能。
  • 問い合わせ/099-254-0100(NPO法人 桜島ミュージアム)
  • HP/http://www.sakurajima.gr.jp/

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